スポーツボート特有の躍動感ある走りと、センターコンソールを起点とした本格的なフィッシングを楽しめるボート。それが今回ご紹介するヤマハ１９０ FSH Sportだ。ホワイトを基調としたTトップを装備する外見は一見するとお洒落なフィッシングボートのように見えるが、このボートはジェット推進器を搭載したスポーツボートである。まず、走りの特徴から書いていくと、やはりスポーツボートという事で走りのパフォーマンスは非常に高い。船体に対する推進力の位置が船外機等に比べ高くなる事で、バウアップが少なくプレーニングに入るのがスムーズだ。旋回性も抜群に高く、ステアリングを切る度に切れ味鋭いコーナーリングが楽しめる。走りの巡行は約３０ノット(6,000回転)あるので、仲間とのクルージングも十分楽しめそうだ。

シートの数も豊富で、バウやコンソール前にそれぞれ１つ、ドライバーズシート、その両サイドに１つずつスターンデッキシートがある。また、ドライバーズシートはバックレストが前後に反転可能で使い勝手も良く、スターンデッキシートは折りたたみ式で、下には収納スペースが広がっている。そして、どの場所でも比較的水面に近い位置でクルージングが楽しめ、水との一体感を感じられる仕様だ。このボートはハルの内側にインペラがあり、ワイドなスイムプラットフォームを持っているため、引っ張りもののチューブを使ったトーイングも楽しめそうだ。夏場にはボートにチューブを積み込み、仲間同士でトーイングを楽しんだら最高だろう。また、浜辺にアンカーリングしてビーチングを楽しんでも良い。

その際、沢山の荷物を積み込みたくなるだろうが、このボートでは19ftとは思えない程の収納スペースをバウやスターンに確保しているため安心だ。センターコンソールの収納場所はカーテンで仕切るだけで着替えスペースにもなり、簡易トイレも持ち込み可能なほど広い。こうした収納面の広さも、展示会等でこのボートを見た時に是非注目して頂きたい。

このように、スポーツボート特有のポテンシャルを持つ一方で、フィッシングにも適した一面をこのボートは沢山持っている事もお伝えしておきたい。それは、ワイドなオーニングを装備したTトップのセンターコンソール、コンソールの両サイドにある３連ロッドホルダー、右舷後方の循環式イケスと挙げればきりが無い。また、ジェット推進のため、プロペラ仕様のボートでは困難な浅瀬での釣りにも対応してくれるのだ。こうしたジェット推進を持ちながら、釣りにも適したボートであれば、ボートシーバスやアオリイカ、更にはキス釣りを楽しむ際にも非常に優れたメリットとして活用できそうである。また、コンソールを中心に船内を楽に一周できる構造は仲間の移動もスムーズとなり、釣りの際の魚とのファイトや取り込み時にもスムーズに動けそうである。スポーツボートでありながら、ここまで釣りに適したボートであれば、日頃からフィッシングボートで釣りを楽しんでいるアングラー逹からも高い支持が集まるのではないかと思う。このボートは家族や仲間とのクルージングやトーイングといった従来通りのスポーツボートの楽しみ方だけでなく、本格的なボートフィッシングを楽しむ為の機能が満載である。これなら１度の出航で２種類の遊びを、しかも高い水準で楽しめてしまうのだ。そもそもスポーツボートで本格的な釣りが楽しめるなんて、アクティブなユーザーからしたらこれ以上無い魅力ではないだろうか。クルージングと釣りのどちらかでは足りないと感じる方には、是非一度乗って頂きたいボートである。

インプレッションの道中、実際に190 FSH Sportで釣りのシーンを撮影し、ボートフィッシングに対するポテンシャルを確かめる事にした。早速ポイントに向けてラグナマリーナを出航する。波切りの良い走りでポイントに向かうボートはスムーズな加速で30ノットオーバーの走りを披露してくれた。ポイント到着後は両舷に分かれて釣りをしたり、片舷に集まって釣りをする。船内のスペースも広いため、３人同時に釣りをする事によるストレスは全く感じていないようだ。実際に魚がヒットしてもコンソールを中心にスムーズなファイトと取り込みが行われていた。スポーツボートでありながら、この釣りのし易さは素晴らしい。是非多くの人にも味わってもらいたいと思う。